コンポストトイレ
写真右側のトイレが今回新設したもの。左側は既存の汲み取り式トイレ。
そもそもコンポストトイレとは
コンポストは「堆肥」を意味します。
都市部で一般的な水洗トイレは、入力受付後に下水処理を施し、最終的に河川等への放流を行います。
それに対してコンポストトイレは、入力受付後も内容物を保持し、堆肥への変換を行うことに特徴があります。
コンポストトイレ制作の経緯
まず前提ですが、うちのデフォルトのトイレは簡易水洗の汲み取り式です。
2ヶ月に1回、汲み取りの業者さんが内容物の回収に来てくれます。
汲み取り式トイレには容量があり、回収までに容量が逼迫してしまうと、それ以降使えなくなってしまいます。
うちの容量はというと、我々の前に住んでいらした世帯よりうちの人数・使用頻度が多いため、ギリギリ回収まで持たない状態でした。
畑の肥料として内容物を利用したいという意図もありますが、主な目的は上述の容量制限への対策となります。
うちはちょっと奥まっているため2ヶ月に1回の回収なのですが、毎月回収に来てくれる場所もあります。
制作物についての詳細
機能要件
以下の理由により、入力は液体物のみを受け付け、固形物はスコープアウトすることにしました。
液体物は取り扱いが楽
固形物と比較して液体物は清潔であり、取り扱う上で気にするポイントが少なくて済みます。
大部分の容量は液体物でカバーできる
人間が排出するものの内訳は、液体物が大部分を占めるようです。
今回は液体物の取り扱いだけで、汲み取りのタイミングまで容量を持たせるという主目的は達成できると判断しました。
生物が排出するものには重大な菌・ウィルスや寄生虫が含まれる可能性があり、取り扱いには注意が必要です。
法律では以下のように定義されています。
(ふん尿の使用方法の制限)
第十七条 ふん尿は、環境省令で定める基準に適合した方法によるのでなければ、肥料として使用してはならない。— 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
上記の法律文から参照されている基準は以下のようです。
(ふん尿の使用方法)
第十三条 法第十七条の規定により肥料としてふん尿を使用することができる場合は、市街的形態をなしている区域内にあつては次のとおりとし、その他の区域内にあつては生活環境に係る被害が生ずるおそれがない方法により使用するときとする。
一 発酵処理して使用するとき。
二 乾燥又は焼却して使用するとき。
三 化学処理して使用するとき。
四 尿のみを分離して使用するとき。
五 し尿処理施設又はこれに類する動物のふん尿処理施設により処理して使用するとき。
六 十分に覆土して使用するとき。— 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則
今回は液体物のみを入力として受け付けるため、法に抵触せずに済みそうです。
コンポーネント概要
本システムのコンポーネントは以下の関係になっています。
これは一般的な汲み取り式トイレとほぼ同じ構成ですが、内容物の出力先が畑である点が異なります。
以下に各コンポーネントの詳細を記述します。
写真 | 説明 |
---|---|
便器 購入した家の納屋に眠っていたものです。 機能的には座れれば何でも良いはずです。 | |
逆流防止弁 本来はエアコンのドレン管につける商品である「おとめちゃん」を使用しています。 写真は逆流防止弁に、便器の一部である漏斗が接続された状態です。 | |
便槽(単体) 内容物を保持する容器です。 | |
便槽(平常時) 便槽に逆流防止弁・臭突が結合された状態です。 臭突の先端は屋外に出ています。 このユニットが便器と足場の中に収まっています。 | |
便槽(散布時) 散布時はアタッチメントを付け替えて使用します。 | |
臭突 煙突は煙を屋外に排気するものですが、臭突は臭気を屋外に排気するものです。 エアコンのドレン管を使っています。 | |
水洗ガン 既存の汲み取り式トイレ(簡易水洗)と共用しています。 | |
足場 通常の汲み取り式トイレは便槽が地下にありますが、今回は床上に設置するため、足場を設けて便槽分高くしました。 |
実際に運用した結果
ポジティブな感想
- 当初の「容量不足」という課題は解決することができた。
- 平常時、臭いは全くと言って良いほど室内では観測できない。
ネガティブな感想
- 漏斗が直線的な形状をしているため、水洗ガンで洗い流す際に飛沫が発生しないよう工夫が必要。
- 市販の便器の曲線はよく研究されていると実感しました。
- 内容物の散布後、畑でどうしてもアンモニアが発生してしまう。
- とはいえ鶏糞等の有機肥料と比較したら軽微な臭いなので、そんなものかなという気もします。
試してはないのですが、クエン酸を混ぜるとアンモニアの発生を抑えられるという情報があります。